2011.06.26

モータースポーツ : PPからスタートの佐藤琢磨、無念のリタイア (ハイライト動画追加)

2011年 インディカー・シリーズ 第8戦 アイオワ・コーン250 において、日本人としてインディ史上初のポール・ポジションを獲得した佐藤琢磨は、決勝においても好スタートを見せ、数週を1位走行。その後ダリオ・フランキッティ (ターゲット・チップ・ガナッシ) に1位を譲るも、大きく引き離されるということはなく、トップグループでの戦いを続けた。以後、ダリオは誰も寄せ付けずに1位をキープし続ける。

レースも残り1/3になった頃、それまでレースをリードし続けてきたダリオが、ついに2位に後退。替わってリーダーとなったのは、なんとマルコ・アンドレッティ (アンドレッティ・オートスポーツ)。決勝前、今シーズンで最高の状態の車だと語っていたマルコは、なんと予選17位からの怒濤の追い上げを見せ、ついにトップに。そして、最後のピットストップのタイミングを迎える。

クラッシュが多い荒れた展開となったこのレースでは、中盤までのピットストップはイエローコーション下での一斉ピットストップだったが、レースも残り約1/3となった時点での最終ピットストップはアンダーグリーンでのピットストップとなった。トップグループの中では早めに入った琢磨。

この琢磨のピットストップと前後して、上位1~2位のマルコとダリオが周回遅れの処理にやや手間取り、若干タイムを失うという場面があった。ここは琢磨にとってチャンス。ここでプッシュすれば、マルコとダリオがピットストップ後、自分が前に出られるかもしれない。

タイヤが充分に温まらず不安定になりがちなアウトラップは問題なく、その後もう1周も問題は起きなかった。しかし、もうタイヤも充分に温まったその次周 (183周目)、ターン1~2間にあるバンプ (コース上の微妙な凸凹) を通過した際、突然リアがスライド、そのままウォールにヒットし、悔しいリタイアとなった。この時点で前には誰も居らず、単独でのクラッシュだった。レース後のコメントでも、チャンスを得て無理をしたというわけでもなく、ピットストップ後2周はこのバンプで問題は出ていなかったため、本人にとっても不可解なクラッシュだったようだ。このレースでは、何台もがこの同じ場所のバンプの餌食となり、リタイアしている。

琢磨のクラッシュの直前には、上位勢が次々とピットイン。さらに、琢磨のクラッシュを受け、イエローコーション下で他の各車も最後のピットをこなす。そして、最後のリスタートへ。

リスタート時の並びは、リーダーがマルコ、2位ダリオ、そして3位が琢磨のチームメイト、通称TKことトニー・カナーン (KVレーシングテクノロジー・ロータス) だった。

Indy2011Iowa_SelectedDrivers.jpg

リスタートでは、TKがダリオをパスしてマルコに食いつき、以後この2台が死闘を演じる。一方、これまでは支配的な速さで1位をキープしてきたダリオは、この終盤に来てハンドリングが悪化、トップ争いに加われないどころか、ずるずると後退してゆく。

マルコに食いついたTKは、マルコをパスし、リーダーになる。しかしその後マルコはイン側からTKを抜き返し、再度リーダーに。マルコの今回のレースでは、いったんアウト側から仕掛けて相手をアウト側に誘導し、空いたインから一気に刺して抜くのがパターン。しかしこの後TKがマルコを抜き返すと、以後インをしっかり塞ぎつつ走行。マルコは何度もアウト側から仕掛けるも、アウト側からでは抜くことはできず、TKはインをぴったり塞ぎ続ける。このままの展開が続けば、TKの勝利。

だが、今回のレースでは、琢磨もそうだったが、KVの車はタイヤ交換した後しばらくは速いものの、だんだんタイヤが辛くなる傾向があった。この影響があったのか、ついにTKのイン側が空いた際、マルコはこれを見逃さずズバッとインを刺してTKをパス。TKはその後一度だけチャンスを掴み、マルコのイン側から仕掛けるも、半分並びかけるのが精一杯で、その後はマルコに引き離されてしまう。

結果、マルコがインディカーにおけるキャリア2回目の勝利を得た。オーヴァルでは初勝利。アメリカ人であるマルコ・アンドレッティは、1991年のCARTチャンピオン、マイケル・アンドレッティを父に、1978年のF1ワールドチャンピオン、マリオ・アンドレッティを祖父に持つアメリカのホープであり、インディカー参戦初年の2006年に見事初勝利を飾っているものの、以後は勝てずにいた。インディカー・シリーズはアメリカのレースである割に、アメリカ人の活躍はやや目立たない傾向がある。この勝利は、マルコ本人にとっても、そしてアメリカにとっても待望の勝利であった。

2位TK、3位は予選23位から怒濤の追い上げを見せたスコット・ディクソン (ターゲット・チップガナッシ)、4位は JR ヒルデブランド (パンサー・レーシング/予選4位)、そして5位にはダリオ・フランキッティが入った。

ダリオはポイントランキング首位を維持。マルコは12位から8位に、TKは6位から5位に、ディクソンはポイントランキング4位から3位に、ヒルデブランドは11位から9位に、琢磨は9位から13位に。

ダリオと並んでポイントランキング首位だったウィル・パワー (チーム・ペンスキー) は、予選5位からのスタートだったものの、1度目の一斉ピットインの際、チャーリー・キンボール (チップ・ガナッシ・レーシング) が配慮を欠いたピットインをしたため、これを避けきれず接触。これで大きく後退し、さらにこのときのダメージの影響で車は不安定になり、その後の走行中に単独スピンし、リタイヤに終わっています。ポイントランキングは2位に後退。

琢磨のリタイアは残念だったものの、非常に熱いレースで楽しめました。私は琢磨がインディカーに来たことにより見始めたにわかファンに過ぎませんが、見続けようと思ったのは、琢磨のリタイア後でも見ててちゃんと楽しいと思ったからかな。

今回の琢磨のクラッシュを知って、「またか」と思う人も少なくないとは思うけど、今シーズンの琢磨は8戦中これが2回目のリタイアであり、決してリタイアが多いわけではないし、こういう形でのリタイアはインディカーのオーヴァル戦ではありがちなんですね。今年の前戦ミルウォーキーでは、TKが終盤、2位走行中に単独クラッシュでリタイアしていますし、このTKはアイオワにおいては2007年・2008年・2009年と3年連続でクラッシュを喫した後、2010年に勝利を得ています。

そして琢磨は、前戦ミルウォーキーでの戦いが素晴らしかったのですよ。予選5位という好位置からスタートするも、序盤ピットストップでのトラブルで順位を落とし、その影響でドライブスルーペナルティまで食らって一時は周回遅れに。しかし的確な作戦と冷静な走りで、運にも味方されてリードラップに復帰し、そこからの追い上げて価値ある8位フィニッシュ。リタイアが多かった昨年からの進化を感じさせる感動の走りでした。

Category: モータースポーツ

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