2011.11.19

エンターテインメント : 「ラーゼフォン」感想 ~「宇宙戦艦ヤマト 2199」の出渕裕氏の監督作~

初代「宇宙戦艦ヤマト」のリメイク版である「宇宙戦艦ヤマト 2199」を監督する出渕裕氏、この方が、これまでにシリーズを通して監督した唯一の作品が「ラーゼフォン」。ショウタイムという動画配信サイトで安かった (今なら6話まで無料、全話パックが44%OFF) ので通して見てみた。以下、ネタバレにならない範囲で感想を。

事前に軽く評価を調べてみた (あまりネタバレしない程度に) ら、神秘性を求めるあまり説明不足に陥っている失敗作、という意見が目立ちましたし、YouTubeで見たOP映像が絵柄的にあまり好みではなかったので不安がありましたが、実際に通して見てみると個人的には良いと思いました。

まず、序盤3話は噂通りの意味不明感。物語世界はどういう世界なのか、何が敵で何が味方なのか、ほとんど説明がされないまま話は急速に展開していきます。よって話の内容にはさっぱりついていけないのですが、それでも映像の美しさとテンポの良い展開に引きこまれて見てしまう感じ。映像は本当に綺麗です。3話目を見終わる頃には、大まかな世界設定がなんとなく見えてきます。

続く4話目、オープニング音楽に合わせてのナレーションにより、物語世界の説明がされます。これにより、なんとなく見えてきていた世界設定がはっきりしますが、さすがにこのナレーションで説明という手法はどうなの、とは思いました。必ずしも必要だったとは思えません。

この後は、キャラクター紹介的なエピソードが続いた後、物語の核心へと迫っていきます。様々な伏線が貼られますが、説明はあまりされず、謎は深まっていきます。でも、序盤3話とは異なり展開はゆっくり目ですので、序盤3話に感じたような置いてきぼり感はありません。

そして最後の数話は、序盤3話同様の意味不明感。でもね、最後にはしっかり綺麗にまとめてくれました。特に、最終話のエンディングの後の短いエピローグ。ここで明かされる謎により、物語に一本の芯が通ります。物語を振り返って見ると、この謎に繋がる様々な伏線が思い返されてきて、ああ、そういうことだったのか、と納得できます。

それでも、よくわからなかった謎は様々残ります。でも、この芯になる部分はシンプルなもので、もやもや感は残らず、すっきりした感じ。

「ラーゼフォン」には、劇場版「ラーゼフォン 多元変奏曲」もあり、こちらもショウタイムにて配信されていましたので見てみました。これは、TV版の映像を主体にある程度の新規映像を加えて再編集したものであり、大まかな世界設定は同じですが、構成が全く異なります。TV版では最終話のエピローグで明かされる謎が、劇場版では何とプロローグで明かされるのです。その上で、説明が少なかったTV版とは異なり、各種の謎が次々と明確に説明されながら進んでいきます。つまりはこの劇場版は、TV版を既に見た人を対象に、TV版では説明不足だった点を補完する作品、と言えるのではないでしょうか。

そして、TV版では最後に明かされる謎が、最初に明かされる、という構成の違いを踏まえ、TV版とはまた異なる設定が用意された上で進行していき、TV版とはちょっと違った終幕を迎えます。ただ正直この設定には、構成の違いという点を補うために取ってつけたという印象を受けました。さらに、この構成の違いのせいで、TV版ではとても印象的な存在だった謎の少女の登場シーンが大幅に削られています。特に、ラーゼフォンが初登場するシーンではこの少女のヴィジュアルが素晴らしかったのに、劇場版では丸ごとカット。さらには、「思い出こそが大事」という劇場版が持つ主張があまり好きにはなれませんでした。

よって個人的には、劇場版に関しては、TV版の謎を説明するための作品、という以上の価値は見い出せませんでした。新規映像もあるとはいえ、クライマックスのシーンの映像もTV版の使い回しが多かったですし。説明がしっかりされるという点はTV版を復習する上でありがたかったですが、構成や設定には無理に独自性を出さず、TV版により忠実に再編集した方が良かったのではないかと。

なお、ショウタイムに書いてある劇場版のあらすじが、モロにTV版のネタバレになってます。よって、TV版を見終える前には見ないようにすることをおすすめします。

この「ラーゼフォン」は、映像が本当に綺麗です。戦闘シーンは毎回あるわけではなくちょっと少な目ですが、しかしその分だけクオリティを高めて作ってある感じですね。メカの描写もエフェクトも素晴らしい。1~2話目だけでも見ると、それは充分に実感できると思いますよ。1話目の戦闘シーンの最初の1カット、戦闘機が撃墜される描写を見ただけでも「お!?」って思いました。爆炎の描写がかなり凝ってて。個人的には、ロボットアニメではただのやられ役にされがちな戦闘機にも、少ないながらもちゃんと見せ場を作ってくれていたことがちょっと嬉しい。ロボットより戦闘機が好きな人なので。

それ故に、「宇宙戦艦ヤマト 2199」の特報映像のあまりの酷さが残念でなりません。「ラーゼフォン」とはあまりの落差が。監督は同じですので、制作会社の実力の違いなのでしょうか...。

Category: エンターテインメント

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