2012.01.11

エンターテインメント : アニメ「とらドラ!」の星空

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「とらドラ!」なるラブコメアニメを見た。深夜にCS付けたらたまたまやってて、どうやら不機嫌女子萌え属性があるらしい俺はすっかりハマって、動画配信サイト「ShowTime」の有料配信でつい全話見てしまった。ShowTimeでは、第1話は会員無料、全25話の30日パックが1,764円

タイトルの「とらドラ!」とは、「虎と竜」の意味。虎とは、ヒロインの小柄な凶暴美少女「手乗りタイガー」こと逢坂大河のことであり、竜とは主人公の高須竜児のこと。

不機嫌女子...とはつまりツンデレでいいのかな? でも他の作品いわゆるツンデレキャラにはあまり萌えないかも。とらドラの大河の場合、主人公に対してはデレを見せることはあんまり無くて、その代わりに陰を見せる。そういうところに萌えますな。

この作品の星空のシーンが秀逸だったのでキャプ付きで紹介したい。

「とらドラ!」 第15話「星は、遠く」より

まずは、ここまでの基本的な物語背景を。

大河は、竜児の親友の北村祐作に思いを寄せており、竜児は、大河の親友の櫛枝実乃梨に思いを寄せている。大河と竜児は、家が隣同士で、いつも一緒にいるが、恋愛関係には無く (と、本人たちは思っている)、大河は実乃梨と竜児の恋路を、竜児は大河と祐作の恋路を、それぞれ応援し合おうと約束し合っている。

ある日、次期生徒会長になるべき優等生、北村祐作が、突如として髪を金髪にし、生徒会長になりたくないと言い出す。誰にも理由を言おうとしない祐作。大河は、その祐作の力になることができないでいた。

(※ 当ブログの背景はリロード毎にランダムで変わります。星空の背景も用意してありますよ)

では、以下、「とらドラ!」 第15話「星は、遠く」より:

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「こんなんじゃ、北村くんの助けになれない。
 助けてあげられない。
 私がダメなとき、北村くんはいつも
 手を差し伸べてくれた。
 その度に安心できたの。」

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「私は、ここに居ていいんだ、
 居ていい存在なんだって。」

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「北村くん、
 北村くんが私の...」

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竜児「最後の救いか」
「あ...」

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「大河、北斗七星。」
「うん。」

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「であれが、ポーラー、
 オリオン。」

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「どれ? オリオン座...」

「ほら、あの3つ並んだ...」

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「あ、あった。」

「うん。」

「あの星ってさ、
 近くに並んでるように見えるけど、
 本当は凄く離れてるんだよね。」

「小学生ん時習ったな。」

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「なんかさ、  私と北村くんみたい。」

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「目で見えてることは本当なんかじゃない。
 見えない真実を知るには、
 あとどれくらい必要なんだろう。
 どれくらい離れてるんだろう。
 私と北村くんの距離は...。」

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「わからないから、縮めたいって思うんだろ?
 好きだから、わかりたいって思って、
 手をのばすみたいにして...」

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「そうやって、
 少しづつ、近づいて行くしかねぇのかもな。」

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「うん。」



このように、実写かアニメかを問わず、実際の星空が劇中で再現されている映像作品はきわめて稀だと思う。この場面の場合は、星の瞬きやにじみ具合もとてもよく出来ていて、妙なリアリティを感じる。北斗七星からオリオン座に視点が写る際に振り向く動作が描写されていない点が少々残念ではあるが。

実際の星空を再現することは、合成が大変な実写の場合はともかく、アニメの場合は技術的にも容易だとは思うんだけれども、やはりある程度追加予算が必要になるためか、それが要求される場面ではなければ、ランダムな星の配置になってしまっている例がほとんどであり、この「とらドラ!」においても、この場面以外の星空はランダムに見える。

そしてこの場面の何より秀逸な点は、「オリオン座」に絡めてこの言葉を紡いだ点にあるんじゃないかな。

この「とらドラ!」では、「見えないもの」「見えているのに、真実じゃないもの」が大きなテーマになっている。例えば「幽霊」「UFO」「サンタクロース」。この「星」というのも、そういったモチーフのひとつだ。

「星の光」のことを、「星影」と言う。星はその場所に見えているけれども、その光は何年も、あるいは何十年も、何百年もかかって地球に届いたものだ。だから、星の光は、影に過ぎず、真実ではない。近いように見えるその距離も、実際には遠く遠く離れてる。「星影」という言葉がいつ生まれたかは知らないが、きっと昔の人は、なんとなくそのことに気づいていたのかもしれない。

もちろん、この星の世界においても、見かけと真実は同じであることも少なからずある。例えば代表的な散開星団である「すばる」こと「プレアデス星団」。このように、小さな範囲に多くの星が集まっていれば、それらはきっと実際に近くに集まった星たちであるのだろうし、事実その通りなのだ。

だが、例えば、地球が、太陽系が、このプレアデス星団から至近距離にあったとしたらどうだろう。プレアデス星団の星たちは、空の割と広い範囲に散らばって見えるに違いない。散らばったそれらが兄弟星であるとは、簡単には想像できないかもしれない。

実は、オリオン座の星たちこそが、そういう兄弟星の代表例だったりする。オリオン座の星たちの多くは、かつて同じ分子雲から生まれた兄弟星であり、その互いの距離は、宇宙的なスケールで見ればごく近所なんですね。専門用語では、オリオン・アソシエーションと呼ばれています。

この背景を知っていると、オリオン座、特にその中心部の三ツ星に絡めたこの話が、この物語における3人の人間関係をよく象徴しているように思えます。

ただしその3人とは、実はこのエピソードから連想されるような、大河・竜児・祐作の3人のことではない。その3人とは、この前の第14話のラストでの、あの言葉のこと。でもまだこの段階では、大河や竜児の目には、はっきりとは見えていないものです。これは、後のエピソードにも効いてくる部分です。

しかしこれは意図された演出なのでしょうか。私は、そうに違いないと思っています。

そう思う根拠のひとつが、第17話のサブタイトル「クリスマスに水星は逆行する」。この「水星」というのも、「見えないもの」のひとつです。水星は太陽系を構成する惑星の中でもっとも太陽に近いため、日の出直前や日没直後のわずかな時間しかみるチャンスがなく、しかも水星が太陽から比較的離れて見える好条件であっても、大気の透明度に恵まれないとなかなか肉眼では確認できないんです。そしてそれは、時に逆行します。でもそれにはなかなか気付けない。見えないから。(→ 作中での意味についての考察)

幽霊の話も、サンタクロースの話も秀逸でした。原作はライトノベルらしいですが、原作ではどう描写されているのかもちょっと気になるところです。

第19話「聖夜祭」より2枚:

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窓から離れた椅子にもたれて、一人小さなツリーを見つめる大河。その後、あることがあって、その後やはり一人でツリーを見つめる大河。でもその場所は窓際に移り、椅子ではなく (あの和室のように) 床に座って、そして窓越しに星空を見上げる。その先に見える星が何かは描写されないが、きっと、オリオン座の三ツ星なのではないかと思う。大きな窓というのは南側にあるものだし、オリオン座は、冬の夜、南天に見える星座だ。そして大河は、寄り添って見えるその3つの星が、やはり互いに遠く離れているのだ、と思っている。

俺的に、ベストエピソードはこの第19話「聖夜祭」だと思う。後でじわじわ来る。そして、このエピソードだけのスペシャルEDがまた良いんだよね。電飾のツリーに雪が舞う。それだけの、割とシンプルな絵なんだけれども、雪の降らせ方に妙に情感感じるというか。

そして、第25話(最終話)「とらドラ!」より4枚:

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私は、居ると思ってますよ、幽霊も、サンタクロースも。幽霊にも、サンタクロースにも会ったことがあるから。 (※ ただし、文字通りの幽霊とサンタクロースという意味で、ではあるが。)

その体験は真実だったと、本当にそう思っています。そういうふうに、できている。きっと。

2012/1/21: 原作小説も読みました。アニメ版と筋は同じながら、印象はまるで別物。重い...。自分の悩みと重なる部分が多くて、色々と考えこんでしまいました。星空のシーン、原作にもアニメ版と同様な形でありましたが、その意味合いは別物ですね。

(※ ちょっと変なテンションで書いた記事なのでやたら重い内容になってます。閲覧注意)



Category: エンターテインメント

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コメント(2)

とらドラ!いいっすよね~
ただ、星の写真は、携帯では撮影できないと思います。そこが最終話を見ていて気になったところ。シーンとしてはとても綺麗でしたが。
ところで、「実際の星空が劇中で再現されている映像作品」という意味では、ぜひ「宙のまにまに」を御覧ください。

大河が携帯カメラで撮影したあの星は木星だった、説なんていかがでしょう? 星があまり見えない夜、空高くにひとつだけ輝く星、というと、木星が濃厚な気がします。木星なら携帯カメラでも何とか写りますし。

「宙まに」はもちろん、原作もアニメも通して見てます。星空の再現はさすがですね! ただ話のほうは、ちょっと陰がある女子萌えな属性のある俺には明るすぎて(汗