2012.02.21
エンターテインメント : 宇宙戦艦ヤマト2199 長編PV公開
初代「宇宙戦艦ヤマト」の初のリメイクアニメ「宇宙戦艦ヤマト2199」の長編PVが公開されました。最初に公開された特報ムービーのがっかり感は半端無かったですが、この新たに公開された長編PVはまあ見れるかな? しかし不安は消えない。
何かもう、冒頭の遊星爆弾のカットだけで見ても不安でいっぱいです。悲壮なシーンのはずなのに、色彩設計がまるで駄目で、妙に明るい印象を受けてしまう。
そもそも、遊星爆弾が映る前の宇宙の絵が駄目過ぎる。のっぺり単色の背景に適当に星を散らしただけ。何という手抜き。何という愛のなさ。初代「ヤマト」においては宇宙の描写は松本零士がとてもこだわった部分で、単に色の指定だけでなく、使用する絵の具の種類や筆使いまで細かく指示してた、という話を聞いたような。
戦闘シーンに関しては、最初に公開された特報ムービーと同じカットが新PVにも結構含まれますが、音楽の力は偉大だ。絵は全く同じなのに、印象は随分違って見える。
ただし絵はやはり褒められない。恐らくは大きな要因は、CGの爆発エフェクトがセル画調のメカの絵柄に馴染んでおらず、浮いてしまっているからだろうか。サーシャの船が爆発するシーン等、随所で手描きの爆発も併用されてるけど、手描きの爆発に関しては納得のクオリティに仕上がっていると感じた。さすがに日本の手描きアニメーターはエフェクト上手いねぇ。エフェクトにCGを用いることそのものが悪いわけではないが、CGのエフェクトアーティストの実力は手描きアニメーターにはまだまだ敵わないのかもしれない。
CGによるメカ本体の描写に関しては、悪くないと思う。ガミラス駆逐艦(?)がカメラをかすめるカット等はなかなか良い。CGにしては質感が良いんじゃないんだろうか。要所要所のメカの止め絵等は、CGを下絵に手描きでトレースして質感向上という手法も採られてる感じ。

キャラデザについては、旧作から居る女性キャラは全体として良い感じだと思う。森雪も、サーシャもスターシャも、オリジナルのデザインを尊重してる感じで違和感無い。ただし、新規追加の女性キャラのデザインは好きになれないかな。アホ毛はやめようぜアホ毛は。
男性キャラに関しては、全く頂けないなぁ。なんだよこの物憂げな目は。新PVには、散り際に沖田提督に敬礼をする古代守のカットも含まれてるけど、これも物憂げな目。ヤマトというのは、もっと目に力を宿した男たちの物語であるべきなんじゃないだろうか。そして誰だよ? このアベルト・デスラーって。
ストーリー面についてはちょっと楽しみ。冥王星会戦での大敗北を喫した沖田提督が戦闘後、「天の岩戸、開く」。そしてメ号作戦は陽動作戦だった...!? と続く。
総じて、大きな不安は残るけど少し楽しみにもなってきたかな。大きな期待はせずに、見てみたいと思います。ヤマト2199と同じ出渕裕監督によるSFロボットアニメ「ラーゼフォン」は良かったですし。
ヤマト2199のキャラデザについては、結城信輝さんが担当されたのですが、参考までに、この方がキャラデザを担当した松本零士原作のアニメ「SPACE PIRATE CAPTAIN HERLOCK」(2003年) の絵柄を紹介しておきます。

こちらは見事に原作を尊重したタッチ。つまりは、ヤマト2199のキャラデザがこうなったのはキャラクターデザイナーの責任ではないわけです。現代風のデザインを目指したというよりは、松本零士色の排除を目指した結果こうなったような印象。
第1章本編を観た感想
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Category: エンターテインメント
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