2012.04.11

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VirtualDub: Kagayaki フィルター (瞬き機能付きソフトフォーカス&クロス)

[ Click here to read English version of this article ] Kagayaki フィルターは、星空動画の情感を演出する、瞬き機能付きソフトフォーカス&クロスフィルターです。星空の微速度撮影動画の処理に加えて、静止画 (連番静止画ではなく単枚の静止画) を動画に用いる際の演出用にもお勧めです。夜景や花火にも適しており、汎用ソフトフォーカスフィルターとしてもご利用頂けます。

デモ動画

ぜひフルスクリーン&HDモードで閲覧して下さい。

ダウンロード

[ Download Kagayaki Filter v0.6 / Source ]

フリーフェアです。インストール方法は、解凍後、vdf ファイルおよび html ファイルを VirtualDub フォルダ内の "Plugins" サブフォルダにコピーして下さい。なお VirtualDub は http://www.virtualdub.org/ より入手できます。VirtualDub の使い方に関しては、微速度撮影入門 をご参照下さい。

使い方

処理の概要

処理の内容は、基本的には、ボカシ画像と元画像をスクリーン合成しているだけです。現状、処理の高速化についてはほぼ考慮されていませんので重いです。ご注意を。将来的にはもっと軽くなるようになんとかしたいかな。

パラメータ

  • Blend Source and Blurred Frames: 通常の処理モードです。
  • Show Blurred Frame Only: 元動画とボカシ画像の合成をせず、ボカシ画像だけを表示。プレビューの際の効果調整用に。
  • Preprocessing: 元画像に対する下処理。
    • Cut-off Level: RGBがそれぞれこの値以下の場合は処理を省く。これにより、背景は処理せず、ハイライト部のみに対して処理を行ないます。
    • Tone Power: 等級差の強調調整用。値が大きいほど輝度差が大きめに出るはず。
  • Twinkling: 瞬き機能です。ただのランダムではなく、凝った瞬きパターンを備えています。
    • Amplitude: 瞬き振幅。
    • Freqency: 瞬き周期。ゆるやかな瞬きも可能です。
  • Soft Focus: ソフトフォーカス機能です。低品質と高品質の2モード。高品質モードは画質は良くなりますが重くなります。
    • Radius: 効果半径。
    • Power: 値が大きいほど「芯の強い」ボカシになります。
    • Multiplier: 輝度係数。大きいほど明るく適用されます。
  • Cross: クロスフィルター機能です。パラメータの意味はソフトフォーカスと同じ。
  • Final Color Adjustment: ボカシ画像の最終調整です。RGBのバランスと彩度調整ができます。

処理内容を理解する

処理内容を理解するため、まずは次のような操作をお試し頂くのをお勧め致します。

  1. Show Blurred Frame Only モードに設定する。
  2. Twinkling, Soft Focus, Cross を全てOFFにする。
  3. Preprocessing の Tone Power を 1.0 (補正なし) に設定する。
  4. Show preview をクリックし、プレビューを確認する。
  5. Cut-off Level パラメータを調節し、プレビュー画像の変化を確認する。
  6. Tone Power を調節し、プレビュー画像の変化を確認する。
  7. Soft Focus をONにし、パラメータを調節してプレビュー画像の変化を確認する。

使い方のコツ

簡易調整

デフォルトのパラメータは、1080Pの星空微速度動画に適用した際に比較的良好な結果が得られるように調整済みのパラメータセットです。ですので、以下の調整を行なうだけでも、そう悪くない結果が得られると思います。

  1. Cut-off level を、背景の最大値よりも大きくなるように調節して下さい。この調整が不適切もしくは背景があまりにも明るすぎる場合は、背景に対しても処理が掛かってしまい美しくないです。
  2. Soft focus の Multiplier を調節し、好みの掛かり具合になるように調節して下さい。Multiplier は、星の芯を潰さない程度の強さにするのが基本です。
  3. 瞬きを併用する場合は、この掛かり具合は平均値ではなく最大値になります。従って、瞬きを併用する場合は、やや強めに掛けると良いです。

星空動画に適用する場合は、これだけでもまずまずの結果になると思います。

なお、Twinkling (瞬き) がONになっていると星の輝度に揺らぎが生じるため、調整中は Twinkling は OFF に設定しておいて下さい。

ソフトフォーカス効果の微調整

理想を追求するには、その他のパラメータも微調整しましょう。

  1. Radius は、基本的には大きいほど良好な結果になりますが、大きい値ほど処理も重くなります。処理速度が許容出来る範囲でなるべく大きく設定すると良いです。
  2. Power の調整により、滲みの芯の強さを調節し、Multiplier の調整により掛かり具合を調節して下さい。
  3. 大きめの滲みが欲しい場合は、Power を小さめにして芯が弱めの滲みに設定し、その上で Multiplier は大きめに設定すると良いでしょう。
  4. 控えめの滲みが欲しい場合は、Power を小さめにして芯が強め滲みに設定し、その上で Multiplier は小さめに設定すると良いでしょう。
  5. 必要に応じて Tone Power を変更し、星の等級差がより自然に表現できるように調節して下さい。
カラーの微調整

Kagayaki フィルターにより、星の彩度を自然に強調することができます。これは花火等にも有効でしょう。

  1. まずは、Saturation (彩度) をかなり高めに調整しておいて下さい。ここで設定する彩度は、RGBバランスの見極めをやり易くするための一時的な設定に過ぎませんので、過剰と思える程度に設定すると良いです。
  2. R、G、Bの各スライダを調節し、色合いがもっとも良く表現できるバランスを探して下さい。なお、同じ星であっても、偽色の影響により、コマによって色合いは変わってしまいますので、単一コマ内でのベストを探すのではなく、複数コマの平均がベストになるように調節しましょう。
  3. 星の場合は、全体としてやや青みがかった滲みになるように調節すると綺麗かもしれません。ただし、赤い星まで過剰に青くしてしまわないよう、バランスの微調節が大切です。
  4. 最後に、過剰に設定してあった Saturation (彩度) を下げ、適切と思えるレベルに調節すれば完成です。

以上です。使いこなしは難しいかも知れませんが、その分微調整が可能なように作ったつもりですので、ぜひ使い込んでみて頂ければ幸いです。

開発意図と特徴

最近のカメラレンズは高性能でシャープです。が、それ故に、星空を撮影した際は、星像がシャープ過ぎて恒星の等級差がわかりにくい絵になりがちな印象があります。レンズ性能の良さに加えて、フィルムとデジカメでの特性の違いもあります。フィルムの場合、強い点光源は、例えその像がシャープであってもフィルムの特性により少しハロができるのですが、デジカメの場合はこれがありません。よって、撮影時にソフトフォーカスフィルターを用いて撮影する、という手法も定番ですね。しかし、物理的なソフトフォーカスフィルターは、効果が弱めのものでも星像がかなり大きくなる傾向があり、恒星の等級差を少しだけ強調したい、という意図に応えることは困難です。

そこでデジタル処理の出番です。この拙作の Kagayaki フィルターは、デジタル的なソフトフォーカスフィルターの一種です。特徴としては、星空動画への利用を前提とした設計となっており、星に適用した際のボケ味が自然で美しく、さらに、星の等級差を自然に強調できることを目指しています。

そして、ユニークな機能として、「瞬き」(またたき) 機能を備えています。星空を微速度撮影した場合は、実時間撮影では実現不可能な高い画質を実現することができますが、一方で、星の美しさの重要な要素である瞬きは失われてしまいます。そこで、デジタル処理により後処理で瞬きを加える、ということが、この Kagayaki フィルターにより実現できます。

Kagayaki フィルターの瞬きパターンは単純なランダムではなく、リアルっぽく見えるよう、ちょっと凝ったパターンになっていますよ。

このKagayaki フィルターは、強めの効果で特殊効果として用いることもできますが、しかし、このフィルターを特殊効果専用のフィルターだとは思わないで欲しいのです。作者としては、基本的には、素の状態の星像に満足せず、より自然な星像を追求したい、という目的で使って頂きたいと思っています。

このように Kagayki フィルターは実用性の高いフィルターですが、しかしながら、完璧では無いという点についてはご了承下さい。元の星像が持っているわずかな色彩情報を強調することができますが、この際には偽色を強調しがちであるため、星の色があり得ない色になったりする場合がよくあります。

サンプル画像

パラメータ調節次第で、さりげない効果も派手な効果も可能です。表現者の意図に応じてご利用頂けます。(素材は全て許可を得て使用)

星空 その1 (素材提供: mockmoon さん)

kagayaki_starry1.jpg

自然な結果を得るには、クロス処理無しで弱めの効果で適用するのが良いでしょう。情感は、認識できないレベルの違いにも宿ります。使ってるか使ってないかわからないぐらいの微弱効果で用いるのもお勧めですよ。

星の色を綺麗に見せるには、RGBバランス調節でやや青みがかった色調に整え、かつ彩度 (Saturation) もやや高めに調節するのがお勧め。

星空 その2 (素材は拙撮影)

kagayaki_starry2.jpg

ちょっと極端な処理例です。こんな、某CGアーティスト風の演出も可能です。

夜景 (素材提供: mockmoon さん)

kagayaki_nightcity.jpg

素材はティルトシフトレンズを用いたミニチュア風撮影です。夜景に適用した際は、窓やネオン看板のような面積が広い光源を必要以上に強調しがちなのが難点ですが、パラメータ調整次第ではそこそこ良い結果になるかと。

花火 (素材は拙撮影)

kagayaki_fireworks.jpg

素材は、コンデジ (Optio W80) での撮影なので、画質に難あり。Noise Ninja でノイズ除去掛けたらだいぶんマシにはなりましたが。この例ではクロスフィルター処理を適用していますが、元画像に比べて色彩が強調されている点にもご注目を。花火は動画撮影すると色が薄めになる傾向がありますが、Kagayaki フィルターでクロス効果OFF&効果弱め&彩度高めのソフトフォーカス処理を適用することにより、色彩を自然に強調することができると思います。

菜の花 (素材提供: OpenSpace さん)

kagayaki_flower.jpg

このように汎用ソフトフォーカスフィルターとして利用する場合は、ソフトフォーカスの Power を弱め (1.0~2.0程度?) に、かつ Multiplier も小さめに設定すると良いです。なお、このような素材に対して処理する際は、処理対象面積が大きくなることから処理が重くなりがちですのでご注意を。

一步進んだ活用のために

トーンカーブ補正を活用すべし

トーンカーブ補正をうまく活用することで結果が改善できます。例えば、Kagayaki フィルターでの処理前にトーンカーブ補正で背景をニュートラルグレーに整えておき、Kagayaki フィルターでの処理後、再度トーンカーブ補正を掛けて背景を狙った色調に整える、など。

露出量が大きな素材は苦手

例えば、背景の一部に光害等の影響で明るい部分ができている素材だと、Cut-off Level を高めに設定してもその部分が処理対象に含まれてしまい、好ましくない結果になってしまいます。

もし、Kagayaki フィルターの利用を前提に撮影するのであれば、撮影時の感度をワンランク下げてアンダー気味の露出で撮影し、Kagayaki フィルターの適用後、トーンカーブ補正等で希望の露出レベルに整える、といったやり方が出来ると思います。

また、構図固定の素材であれば、マスク処理で何とかする、という手法も可能かもしれません。

処理の実装のポイント

天体写真に対するデジタル的なソフトフォーカス処理を実際に試みたことがある方なら、良好な結果を得るのはなかなか難しいということはご理解頂けると思います。この Kagayaki フィルターが星空に対して自然なソフトフォーカス処理を実現しているのは、次の2点にポイントがあります。

1. 簡易逆現像

現像済みの画像では、ハイライト部の階調は強く圧縮されてしまっています。ゆえに、現像済みの画像に対してボカシ処理を掛けた場合は、星の階調の違いがうまく再現できないのです。

そこで、Kagayaki フィルターでは、ボカシ処理を行なう前の前処理として、トーン補正によりハイライト部の階調を強調しています。この効果を調節するパラメータが Tone Power であるわけです。

いわばこの処理は、現像により圧縮されたハイライト部の階調を擬似的に元に戻す、一種の逆現像処理であると言えると思います。もちろん、この処理により現像前の階調が高精度で得られるわけではなく、あくまで粗い精度の簡易処理に過ぎませんが、しかしこれをやるのとやらないのとでは結果に大きな違いが出ます。Tone Power を 1.0 に設定すると、この簡易逆現像処理が無効になりますので、試してみて下さい。

2. 芯が強く、かつ効果半径が大きなボカシ処理

一般的なガウスぼかし処理は、芯が強いボカシ効果を得ようとすると効果半径が小さくなりすぎ、逆に効果半径を大きくしようとすると、芯が損なわれてしまいます。よって星像に対するボカシ処理には適しません。Kagayaki フィルターでは、芯の強さが調整可能なボカシ処理を採用しています。ただし、ボカシの結果が綺麗な円形にはならないという欠点もあります。綺麗な円形になるような処理も実験したのですが、残念ながらあまりにも重くてとても実用にはなりませんでした。ただ、この欠点は少なくとも動画に用いる際はさほど気にならないでしょう。

構想10年以上、開発2週間

構想は10年以上前から持ってました。昔から、ソフトフォーカスフィルターを使って撮影した星座写真が好きで、でも物理的なソフトフォーカスフィルターでは効果の微調整ができないため、デジタル処理で何とかできないか、と思っていて、実際に Photoshop で試行錯誤して試してみてましたね。それなりの結果が得られるようにはなったものの、手間がかかるので、そのノウハウを活かして、一発で良い結果が得られるフィルターを作ってみたいと思ってました。だから元々はこれ、静止画処理用の構想だったんです。

そのうちに高性能なデジタル一眼レフカメラの普及から星空の微速度動画が一般的になり、動画にも使える構想だったため、まずは動画用フィルターとして作ってみたのがこの Kagayaki フィルターというわけ。3/25日頃から作り始めて、実作業は2週間といったところでしょうか。

手が遅いので着想から実現までに長い年月が掛かりましたが、目指した通りの完成度が実現できたと思います。静止画書利用に Photoshop プラグイン版もいずれ作りたいですね。

恐らくは、最良の結果を得るには、やはりRAWからの現像処理の中にソフトフォーカス処理を組み込むことなんでしょうね。ワンランク良いクオリティが実現できるはず。

Category: VirtualDub

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コメント(1)

photoshopのプラグインにしてくれると嬉しいです。