2012.07.10

エンターテインメント : 宇宙戦艦ヤマト 2199 第1章 レビュー

さて、放送前のPVを見た限りでは期待より不安が大きいという感想を持ったわけですが。私は松本零士ファンですし、松本零士あってのヤマトだと思っています。その松本零士の参加のない本作がどうなるか。でも、居たんですよ、松本零士。

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ファミリー劇場の特番より、出渕祐監督の一コマ。このニット帽といい、白髪混じりの天パな髪質といい、これは松本零士を意識したファッションのように思えました。松本零士本人は参加できなかったとはいえ、この出渕監督なら大丈夫。そう思えましたね。

そして、第1話 (第1章の前半) の序盤を見た際に、私の不安はきれいさっぱり拭われました。

「返信はどうしますか?」

「バカメと言ってやれ」

「は?」

「バカメだ!」

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「はい!」

この通信士官の笑顔! 良いですね!

PVを見た限りでは、登場人物の力のない物憂げな表情が多く使われていて、それが不安要素になっていました。しかし、本編を見てみると、PVを見た際に不安を感じた物憂げな表情群にはそれぞれしっかりと納得できる理由がありましたし、力強く生きようとする男たちの姿がきっちりと描かられていました。

本作は基本的には忠実なリメイクですが、しかし諸設定が整理されており、小さくない違いが随所にあります。この第1章においては、序盤の冥王星会戦 (メ号作戦) が、イスカンダルからの使者、サーシャの乗る連絡船 (地球側暗号名=アマテラス) の到着に備え、その航路の安全を確保するための陽動作戦であり、囮だったという設定が新たに設けられています。

それによって、地球艦隊が壊滅に近い状態に追い込まれたあの作戦に重要な意味が与えられ、そして、「絶望的な状況下の中でも、見えてきたわずかな希望のために、強い確信を持って行動する人々の姿を描く」というテーマ性が明確にされたと思います。

旧作での古代守の特攻も、本作では「沖田艦の撤退を支援する」という意図が明確に説明され、屈指の名シーンとして仕上がっています。

正直、映像面ではやはり満足できない部分はあります (※ 出渕祐の初監督作「ラーゼフォン」より劣る)。しかし、その点を除けば総じて出来が良いので、たとえ映像面で不満が残るにせよ、全体としては安心して楽しめ、満足感は高いですね。

この第1章 (第1話~第2話まで) は現在、ショウタイムにて有料配信されています。価格も手頃ですし、未見の方はぜひ!

第2章は6/30日より2週間限定で劇場にてイベント上映中ですが、全国で10館のみですし、富山から近い上映館が無いので見に行けていません。いずれネット配信やCS上映等あるのでしょうけど、まだ先の話なんでしょうね。

冥王星会戦での一方的敗北の謎

ここからはちょっと思い付いた考察というか妄想です。

さて、第1章の後半 (第2話) では、これまでの経緯が説明されるのですが、そこにひとつ気になる点がありました。

地球艦隊は、第二次火星沖会戦にてガミラス艦隊に辛くも勝利し、その後、ガミラスは地球攻撃の戦術を遊星爆弾による長距離爆撃を中心とする形に切り替えた、というのです。

では何故、冥王星会戦における地球艦隊は、ガミラス艦隊に対し有効な損害をほとんど与えられないまま、全滅に近い状態に追い込まれたのでしょうか。いくつかの条件を考慮すると、その答えらしきものが見えてくるように思います。

  • 冥王会戦は、敵艦隊を引き付けるための陽動作戦だった。
  • 地球艦隊の攻撃は、砲撃 (一種のエネルギー兵器) はガミラス艦の装甲に弾かれ、効果が薄い。
  • その一方で、古代守の宇宙駆逐艦「ユキカゼ」は、近距離からのミサイル (というか魚雷?) 攻撃により、一撃でガミラス艦を仕留めている。
  • 地球に戻った沖田艦「キリシマ」は、目の前を通り過ぎていく遊星爆弾を迎撃することができず、ただ見逃すしかなかった。

キリシマが遊星爆弾を見逃すしかなかったのは、戦闘による損傷が一因かもしれません。が、冥王星会戦が陽動作戦だったことを考慮すると、こういった可能性も見えてくるんじゃないでしょうか。

イスカンダルからの連絡船は小型の脆弱な船であり、その航路の安全を確保するためには、ガミラス艦隊の全てを冥王星方面に引き付けておく必要があった。そのためには囮となる艦隊は規模が大きなものである必要があった。

しかし地球側の資源はもはや底を付いてきており、大きな規模の艦隊に充分な修理補給を施すことはできなかった。各艦艇は、修理も不十分で、エネルギー搭載量も最小限のまま、囮として出撃していった。

だから、本来の性能であれば有効な打撃になり得るはずの主砲の威力はガタ落ちで、その結果としてガミラス艦の装甲を貫くことはできなかった。しかしミサイル系兵器の威力は艦のエネルギー状態とは無関係であるため、命中させられることさえ出来ればその威力を発揮した。

こういった理由だったのかもしれません。

(※ なお、旧作においては、古代守の乗艦は修理が不完全で、地球への帰還が無理な状態で出撃していたことが、あの特攻の背景にあったという設定があります。これは、作中において、古代守艦の修理を担当した真田さんの口から語られています。)

Category: エンターテインメント

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