2012.09.17

モータースポーツ : 2012インディカー 最終戦もまた熱かった!

2012インディカー最終戦はフォンタナの2マイルオーバルを250周する500マイルレース。ナイトレースだったので、現地時間17時50分、日本時間では午前9時50分にスタート。私はその頃、海王丸ロードレース (マラソン大会) 10kmの部 に出走していたので、11時40分頃からの観戦となった。

今回の最大の見所は、年間チャンピオンシップの行方。最終戦を迎えた段階で、年間トップはチーム・ペンスキーのウィル・パワー、それを17点差でアンドレッティ・オートスポーツのライアン・ハンターレイが追う。年間チャンピオン争いはこの2人に絞られていた。

佐藤琢磨は、今年はインディ500での最終周のトップ争い、そしてエドモントンでの2位表彰台獲得など、印象に残る戦いを見せてくれてはいたが、相変わらずリタイアが多く、年間チャンピオンシップでは中団。今回の最終戦での琢磨は、第1プラクティスで走行量が稼げずセッティングで苦労するも、予選までには進歩を見せ、中団の速度を得る。そして予選後の最終プラクティスでまずまずの手応えを掴んでの決勝レース。

さて、私が観戦を始めた11時40分頃。長丁場のレースは中盤、残り約150周。この時点での1位はKVレーシング・テクノロジーのトニー・カナーン。佐藤琢磨がなんと5位。おおー! 他のドライバーは...リタイア多いな...。あれ!? ウィル・パワーが既にリタイア...いや、パワーはたった今マシンを降りたって? でもパワーは数十周遅れって表示されてるがどゆこと!? ハンターレイは...8位ぐらいだったかなぁ?

ウィル・パワーはロード/ストリートコースでは圧倒的な強さを見せ、ポール・トゥ・フィニッシュも多い。が、オーバルは苦手としており、2010年も2011年も、ロード/ストリートコースで圧倒して年間ポイント争いで首位に立つも、最終戦のオーバルで逆転され年間チャンピオンシップを逃し、年間チャンピオンにはまだなれていない。

今年のインディカーは全15戦で、うちオーバル戦は5戦だけだった。オーバルが少ない、パワー有利な構成。ロード/ストリート戦が続く序盤2~4戦で3戦連続勝利を飾り、年間チャンピオンシップを大幅リードするも、その後の今シーズンはポールを取っても作戦上の判断のまずさ等からトップを取りこぼし続け、そして苦手のオーバル・コースでは安定感を欠きリタイアが多かった。結局、最終戦までの勝利は、序盤2~4戦の3回のみ。それでも安定した上位フィニッシュによりポイント争いでの首位は維持したものの、大きなポイント差は付けられなかった。

一方のライアン・ハンターレイは、ロード/ストリート、オーバル両方で速さを見せるドライバーではあるが、接触等が少なくなく、必ずしも安定感のあるドライバーではない。年間チャンピオンにはなれていない。しかし、勝てるレースはしっかり勝つ強さがある。今年は、前半戦では2回の表彰台フィニッシュがあったものの、インディ500 (オーバル) とテキサス (オーバル) では下位に沈み、年間チャンピオンシップの首位争いには加われていなかった。

ところが、第8戦ミルウォーキー (オーバル)、第9戦アイオワ (オーバル)、第10戦トロント (ストリート) と、なんと3戦連続での勝利を飾り、一躍首位争いに加わる。第12戦ミッドオハイオ (ロード)、第13戦ソノマ (ロード) では下位に沈むも、第14戦ボルティモア (ストリート) で今年4回目の勝利を納め、17点差の年間2位で最終戦を迎えた。

そしてこの最終戦フォンタナ、2マイル・オーバルでの500マイルレース。パワーがなんと、序盤に単独スピンを喫してクラッシュしてしまったようだ。その際にハンターレイを巻き込みかけたが、そうはならなかった。これにより、ハンターレイが6位以上であれば逆転チャンピオンという展開に。

ところがだ。チーム・ペンスキーは、なんと、クラッシュにより中破していたウィル・パワーのマシンを全力で修復したらしい。F1と違い、インディカーではクラッシュしてもマシンが修復できればレースに復帰できる。しかし何のためにわざわざ数十周遅れでレースに復帰すると言うのか。

レースに復帰したパワーは、パワーのクラッシュより後でリタイアしたEJビソの周回数を上回った段階で車を止め、レースを終えた。インディカーではF1とは違い、入賞という概念はなく、ポイントは最下位 (リタイアしたドライバーを含む) まで付く。よって、パワーはEJビソの周回数を上回ったことにより最終戦での獲得ポイントを増やし、結果、ハンターレイは6位ではなく5位以上が求められることになった。

...というのが、私が見始めた11時40分頃までに起こったこと。

1位を快走するトニー・カナーン。人気有力ドライバーだが、近年は勝利できていない。上位走行を続ける琢磨。5位には届かないハンターレイ。そんな中盤戦。

そんな中、カナーンにトラブル発生。エンジン・カウルが外れかけてバタバタしている。それでもカナーンのスピードは落ちずに首位をキープしていたが、カナーンは次のピットストップでその応急処置に時間がかかり順位を落とした。だがリードラップは維持。まだ可能性を残す。

いよいよ最終スティント。勢いを得たのは、アレックス・タグリアーニ、佐藤琢磨、そしてエド・カーペンター。佐藤琢磨は一時は首位に立ってみせたが、エド・カーペンターがその琢磨を抜く。

残り21周。ここで、3位のアレックス・タグリアーニが急失速、エンジン出火でリタイア。それに伴うオイル等の汚れが無いかコースを検査するためイエローフラッグが振られる。リタイアしたタグリアーニはそれはもうがっくりどんより...orz モード。

この時点での順位は、1位がエド・カーペンター、2位佐藤琢磨、3位ダリオ・フランキッティ、4位スコット・ディクソン、そして来ましたハンターレイ、ここで5位。6位カナーン。カナーンはリスタートでは輝く。まだ勝利を狙える位置。ダリオとディクソンはターゲット・チップ・ガナッシの2台。それまでは目立たなくても終盤きっちり上がってくるのはさすが。

残り15周でリスタート。琢磨は順位を落とす。少々苦しいか。これは勝つのは難しいか。エドはトップをキープ。琢磨を抜いたダリオが2位。そのダリオはさらにエドをかわしトップへ。3位以降は琢磨、ハンターレイ、カナーン、そしてハンターレイのチームメイトであるマルコ・アンドレッティの4台が混戦状態。抜きつ抜かれつ、順位が入れ替わっている。

残り10周。ここでカナーンがまさかの単独クラッシュ。残りたった10周では、レースはそのままイエロー下でのフィニッシュとなるだろう。この時点でハンターレイが3位。逆転の年間優勝だ! ...と、思われた。あるいは、素早い撤去と清掃で、残り2周ぐらいの超スプリントの戦いとなるのか。しかしである。

ここで、9周を残してまさかのレッドフラッグが振られた。つまり、レースを一時中断して車を止めるということ。そう、イエロー下でのフィニッシュを避け、最後はグリーン・ホワイト・チェッカー (グリーンフラッグでリスタート、残り1周でホワイトフラッグ、チェッカーフラッグでフィニッシュ) となるように。

この、イエロー下でのフィニッシュを避けるグリーン・ホワイト・チェッカー・システムは、NASCARで採用 (ただしNASCARではレッドフラッグが振られるのではなく、必要に応じて周回数が増やされる) されており、インディカーでも来年からの導入が検討されていたらしい。だが、前倒しで今シーズン中に投入される可能性についても検討されていたらしく、それが今回のレッドフラッグとなった。

順位は、1位ダリオ (赤)、2位エド (白+緑)、3位ハンターレイ (白+黄)、4位琢磨 (青+白)、5位マルコ (青+赤)、6位ディクソン (赤)、7位エリオ・カストロネベス、8位グレアム・レイホール。このわずか8台までがリードラップ、残りは全て周回遅れ。

レースは、コースの片付けと清掃後、3周をペースカー先導の走行でタイヤ・ウォームアップ。そして残り6周でリスタート! ダリオとエドがトップ争い。3位ハンターレイは付いて行けない。4位琢磨は伸びない。マルコに並ばれる。ディクソン速い。ハンターレイをかわして3位へ。マルコは失速した。琢磨は5位。ここで琢磨が伸びる。ハンターレイに食いついた! かわせれば4位だが...表彰台には届かないか?

ついに最終周! ここに来てトップ争いが熱い! エドがダリオをかわした! あーっと、ここで単独クラッシュ...したのは佐藤琢磨...。

このレースの勝者は、エド・カーペンター! オーバルを得意とする彼のキャリア2勝目。2位ダリオ、3位ディクソン、ガナッシの2台。そして4位ハンターレイ! 逆転での年間チャンプおめ! エドとハンターレイは2人ともアメリカ人。インディカーはアメリカのレースとはいえ、アメリカ人ドライバーは多くはない。自国民の活躍は嬉しいだろう。

ハンターレイは序盤、パワーのクラッシュに巻き込まれかけた。最終周、琢磨のクラッシュもハンターレイのそばだった。でも、きっちり4位で完走した。これがハンターレイの強さなんだろうなぁ。

5位エリオ、6位レイホール。この6台までがリードラップ。終盤に急失速したマルコは周回遅れとなっており、琢磨がクラッシュしたのは最終周だったため、クラッシュ時点で5位だった琢磨は、順位を2つだけ落としての7位という結果となった。クラッシュは頂けないが、熱い戦いをありがとう。

今年のインディカーは、DW12という新シャーシの導入に伴い、これまで以上にバトルが多かった。年間チャンピオンシップ争いは、最終戦の最終周までわからない展開となった。琢磨は安定感は欠いた (※自爆もあるが、マシントラブルにも大いに泣かされた) ものの、インディ500での最終周のトップ争いには感動した。エドモントンで2位表彰台。この最終戦でも一時首位に躍り出て存在感を見せた。

来年も楽しみです!

Category: モータースポーツ

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